伊藤さん(杜氏)
目に見えないからこそ面白い
安藤醸造で杜氏として醤油のもろみを管理している伊藤さんにお話を伺いました。
伊藤さんが杜氏になったきっかけを教えて頂けますか?
最初は発酵に興味を持ったんです。パンなどもそうですけど、発酵食品って面白いなと。そのときに昔から馴染みのあった安藤醸造で杜氏を募集しており、応募したのがきっかけで今に至ります。子供の頃から安藤醸造の味噌や醤油は使っていましたし、醤油をご飯に直接かけて食べることもありましたよ笑
醤油とご飯!笑なかなかのインパクトですね笑改めて杜氏のお仕事について教えていただけますか?
杜氏は仕込みの作業から担います。蒸した大豆と小麦に麹菌をつけたものに、塩水を混ぜながらタンクに仕込むところから始まります。タンクの中で発酵が均一に進むようにじっくりと1年以上管理していきます。毎日変化するので、その日の香り、もろみの盛り上がり具合や温度によって「くみかけ」と呼ばれる作業で、温度調節やガス抜きをします。冬の寒い時期に仕込むのですが、3,4月から微生物の動きが活発になり、また、夏は特に発酵が進みやすく、管理も注意しなければなりません。
毎日、少しずつの変化を感じ取り、管理していくのは職人技ですね。もう35年以上杜氏としてご活躍されているとのことですが、伊藤さんが思う、杜氏の魅力を教えてください。
目に見えないものを相手にするということでしょう。目に見えないものを扱って、どうなるのかもわからない。だからこそ面白いんです。見えないけれども、彼らは生きているので、毎朝必ず顔を見に行って、五感を使って手をかけるんです。
想像できない世界です。見えないから面白い、深いですね。そんな伊藤さんがオススメの醤油はどれでしょうか?
生醤油と家伝醤油ですね。本醸造で何も加えていないから雑味がない。素朴ではありますが、やはりシンプルなのがいいですね。
最後に伊藤さんの仕事に対する想いを教えてください。
それはやっぱり一番良い物をつくりたい。ということですね。それは私だけじゃ無くてみんな思っていますよ。歴史ある蔵でじっくりと時間をかけて間違いの無いものを作ります。
杜氏というお仕事を楽しそうに教えてくださる伊藤さんの姿が印象的でした。毎日目に見えないものを自らの五感で管理する姿は、まさに職人そのものです。